2023年10月12日 静岡県の家庭裁判所において、性別適合手術を受けずに戸籍の性別を変更させてほしいという裁判の判決が出されました。
申立人は体は女性、心は男性の「FtM(Female to Male)」と呼ばれる方です。
現在、性同一性障害の特例法によって、性別適合手術によって体の性別を変えた方に関しては、戸籍の性別を変えることができます。
しかしこの法律によって、「性別適合手術を受けさせることは人権侵害である」「撤廃してほしい」という裁判が複数起こされているのです。
- 申立人の訴えの内容とは
- 問題だらけの違憲判決文!
- 性同一性障害とトランスジェンダーの違い
- 特例法ってどんな法律?
- 特例法って悪い法律なの?
- 裁判官は、セルフID(自称の性別)を認めている?
- 「トランスジェンダーは生きづらい」と印象操作するメディア
- 特例法がなくなってしまうと、どうなる?
- 判決文を、口語訳的にわかりやすく解説
- さいごに
申立人の訴えの内容とは
今回、静岡家庭裁判所に申し立てを行ったのは鈴木げんさんです。鈴木さんは幼少期から女性として扱われることに違和感があり、40歳で性同一性障害の診断を受けました。
鈴木さんの訴えは、「性別適合手術を受けずに、戸籍の性別(社会的な性別)を女から男に変えてほしい」という内容でした。
現在の法律では、性別適合手術を受けずに戸籍などの公的な性別を変更することはできません。鈴木さんの訴えを受け入れるには、性別適合手術について記載のある、いわゆる「特例法」を違憲とし、法律を書き換える必要がありました。
今回の静岡県の裁判では、特例法が違憲とされ、鈴木さんの訴えに正当性があると認められた形になります。
問題だらけの違憲判決文!
現在最高裁においても、同様の裁判が行われています。こちらは2023年10月25日に判決が出る予定で、性同一性障害の当事者をはじめ、性的マイノリティの方々、女性スペース問題に危機感を覚える方々など、たくさんの人が注目をしています。
そんな中、鈴木さんの裁判がひっそりと行われていたことは誰も知らず、今回の判決は多くの方にとって寝耳に水でした。
判決文を読んでみて、さらにびっくり!裁判官は性同一性障害について、正しい理解ができているとは思えない内容なのです。この判決文がおかしいポイントは、以下の通りです。
<判決文のおかしいポイント>
- 裁判官が性同一性障害とトランスジェンダーの違いをわかっていない
- 特例法を悪い法律のように扱っている
- セルフID(自称の性別)を認めている
- 鈴木さんは言動は、性同一性障害ではなく「トランスジェンダー」
- 裁判官は、多くの「性同一性障害」が手術を望んでいることを知らない
これらの具体的な内容を、判決文の解説に沿ってご説明いたします。
性同一性障害とトランスジェンダーの違い
これから判決文を解説しようと思いますが、まず大前提として、裁判官が性同一性障害とトランスジェンダーの違いをわかっておりません。
鈴木さんは「性同一性障害」の診断を受けており、乳腺摘出手術(胸オペ)などの治療を受けていることは事実ですが、主張の内容を聞くと「性同一性障害」というより「トランスジェンダー」なのです。
身体違和 | 適合手術の意思 | ホルモン治療 | |
---|---|---|---|
性同一性障害 | 強い | ある | ある |
トランスジェンダー | 個人差 | ない、未定、消極的 | 個人差 |
すごく簡単に説明すると、性別適合手術を望むのが「性同一性障害」です。彼らは、戸籍の性別を変えることが目的だから手術をするのではありません。身体違和を和らげるために、リスクを承知で手術を受けるのです。
一方で、「トランスジェンダー」は性別適合手術に消極的なケースが多いです。理由は後日、別のブログでご紹介します。
<判決文で裁判官が誤解しているポイント>
また近年のトランジェンダーには、Xジェンダーという「男/女どちらでもない性」や女装なども含まれます。こちらは身体違和がない人も多いです。
このように、一口にトランスジェンダーと言ってもセクシュアリティにはかなりの幅があります。
特例法ってどんな法律?
この判決のキーとなっているのが「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」いわゆる「特例法」です。特例法を簡単に説明すると、性別適合手術をはじめとした治療を終えて、見た目が完全に異性になった方が、日常生活の様々な不便を解消するために、戸籍の性別を変えることをOKとした法律です。
戸籍の性別を変えるには、次のような6つの条件があります。
- 二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
- 十八歳以上であること。
- 現に婚姻をしていないこと。
- 現に未成年の子がいないこと。
- 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
- その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
もともとは「性別適合手術を望む方」もしくは「すでに手術をした方」のための特例法ですので、5と6にある通り、性器を切除するというのは絶対条件になっています。
特例法って悪い法律なの?
メディアにおけるトランスジェンダーたちの主張を見ると、まるで特例法が悪の法律であるような印象を受ける方が大勢いらっしゃるかもしれません。
しかしそれは印象操作なのです。すでに説明してきた通り、特例法は「手術をした」方のための法律です。戸籍の性別の変更が目的になるのは、そもそもおかしいことなのです。
裁判官は、セルフID(自称の性別)を認めている?
後ほど解説する判決文において、裁判官はセルフID(自称の性別)で公的な証明書の性別を変更することを肯定しています。
これはとんでもないことで、女性スペースの安全を脅かしますし、社会的混乱の要因になり得ます。
また、埋没(社会に溶け込んで生活する性的マイノリティのこと)を望む当事者にとっても迷惑な話なのです。
裁判官は判決文の中で、「世界では自称の性別が認められつつあるから、日本もそれに従ってもいいのでは」という旨を述べていますが、ハッキリ言ってこれは周回遅れの知識です。
アメリカでは、反LGBTの考えに世論が傾いています。それはセルフIDを認めたことで、取り返しのつかないレベルで混乱が起きているからです。バイデン大統領の人気が急降下し、トランプ元大統領が以前にも増して熱狂的な支持を受けているのも、反LGBTになってきている証拠のひとつです。
「トランスジェンダーは生きづらい」と印象操作するメディア
セクシャルマイノリティの分野にまったく詳しくない方々にとって、この問題を理解するのは、少々困難でしょう。
性同一性障害とトランスジェンダーの違いにもわかりにくいし、メディアの論調は「LGBTQは生きづらい」「自殺を考える人もいる」などお涙頂戴に傾いているので、気を使ってあげないとという意識になってしまうのも無理はありません。
しかし、メディアに出てくるのはほぼ活動家です。本当の当事者というのは、目立つのを嫌います。社会の手厚いサポートなど求めていません。
<みなさんに覚えておいてほしいこと>
- 性同一性障害の特例法は、当事者にとって必要な法律。トランスジェンダーの発言に騙されてはいけない。
- 心の性別で、公的な性別を変更できてしまうのは、危険である
- 海外は、反LGBTに世論が傾いてきている。男女2つの性別を基本とすべきである
メディアでのトランスジェンダーの発言に騙されないで
メディアで涙ながらに生きづらさを訴えるLGBTQの人たちは、ほぼ100%と言っていいほど活動家です。芸能人や学生の場合は、バックに活動家がついています。
NPOなど作れば公金を引っ張ってこれますし、彼らは横のつながりが強いので、資金源も豊富にあります。弱者アピールは儲かるのです。
彼らの多くは(もちろんちゃんとした団体もありますが)本当の当事者の意見は無視で、自分たちの活動に有利な発言しかしません。
「差別反対!」「自分らしく生きたい!」などと主張しますが、普通に生きている当事者は差別されていると感じていませんし、すでに自分らしく生きています。放っておいてくれというのが本音です。
心の性別を認めるのは危険である
心の性別(セルフID)が認められてしまうと、低レベルな女装にしか見えない男性のことも、「女性」として扱わなければ差別になってしまいます。ハッキリ言って、そんなのバカバカしいです。個人の妄想に付き合う義理はありません。
また心の性別はイデオロギー(思想)ですので、男性・女性の他に中性・両性・無性・クエスチョニングなどがあります。そんなものをいちいち認めていたら、どうなりますか?病院、学校、企業など、あらゆる場面で混乱は必須です。絶対に認めてはいけないのです。
海外では反LGBTに世論が傾いてきている。性別は2つしかない
一説には「性別は58種類」あると言います。おかしくて笑ってしまいます。バカを言うんじゃないと。染色体はXXもしくはXY。どう考えても性別は2種類なのです。
アメリカでは「性別は2種類である」という原点に立ち返ろうという、反LGBTの流れになってきています。立派なヒゲを蓄えた、筋骨隆々の「女性」などあり得ません。
特例法がなくなってしまうと、どうなる?
メディアでは、あたかも「特例法が性同一性障害の、戸籍の性別変更を邪魔している」と言わんばかりの報道がされていますが、それは間違いです。
何度も言うように、特例法は手術をされた方のための法律です。手術をされた方が、例えば「パスポートの性別は男なのに、あなたの見た目は女ね?偽装ですか?」とならないように、戸籍の性別変更を認めたのが特例法です。
特例法がなくなってしまうと、男性が「心は女だ」と偽って、女性トイレや女子風呂に入れるようになってしまうのです。性犯罪が増える危険性があります。
判決文を、口語訳的にわかりやすく解説
それではここからは、静岡家裁で出された判決文を、口語訳的に解説していきます。こちらの解説は動画にしてあり、全部で4つあります。是非合わせてご確認ください。
9・10ページ 特例法の必要性&自称の性別が可能になっても、混乱は起きない?
判決文の前半は、申立人の過去や特例法の歴史などが述べられておりますが、あまり関係ないので割愛します。
9・10ページでは主に、「特例法は必要ではない」とする理由述べられております。特例法の戸籍の性別変更の条件として、
- 二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
- 十八歳以上であること。
- 現に婚姻をしていないこと。
- 現に未成年の子がいないこと。
- 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
- その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
という6つの要件がありますが、ここでは3・4がいらない理由が述べられています。
たとえば「手術前に精子を採取し、凍結しておき、手術後にそれを使って体外受精した場合、理論上子どもを作ることは可能だ。よってこの条件には無理がある」という内容です。
トランスジェンダー性善説?手術要件がなくても問題ない?
さらにここでは、裁判官がトランスジェンダー性善説に立ち「女性になりたいと言っている身体男性が、自分のペニスを使って女性を強姦するようなことはありえない」と言っています。
しかし実際はトランジェンダー女性は「レズビアン」が多いのが現状で、「女性には興味がないから」と安心させ、女性をレイプする事件はたくさん起きているのです。
あなたはこの現実を知らないのよ…。トランス女性(身体男性)の性指向58%が女性。危険なんだよ。 https://t.co/dyCmZaGsaN pic.twitter.com/bCYNt6zLGd
— いなり王子・坂梨カズ (@inari_oji) 2023年9月23日
11・12ページ 治療はアラカルト式になったから、手術はしなくてもいい?!
引き続き、11・12ページでも「特例法はいらない」という内容が述べられています。
かつての性同一性障害の治療では、たとえばホルモン治療→胸オペ(乳腺摘出)→子宮摘出(性別適合手術)というふうに、段階的な治療がなされていました。
現在は順番を必要としない「アラカルト式」となっており、どういった治療から始めてもいいことになっています。
https://t.co/ENW0RejVup
— 奥田幸雄 (@yukiookuda) 2023年10月18日
他にもあると思いますが、とりあえず。 https://t.co/OkJzceERm4 pic.twitter.com/fSwxqCpj6c
裁判官はどういうわけか、性同一性障害の治療が「アラカルト式」になったことで、性別適合手術の必要性そのものがなくなったと解釈しているようなのです。
順番が決まっている場合は「どれも必須の治療」となり得るが、どの治療からやってもやらなくてもいいのであれば、医療的に見ても手術の必要性はないと判断したようです。
クリニックにおける「ザル診断」はあり得ない?
ここで急に述べられてるのが、「クリニックにおいてザル診断は存在しない」という主張です。
性同一性障害の診断書はすぐ降りるといういわゆる「ザル診断」が存在しますが、裁判官はなぜかその事実を否定しています。
「2時間でとれた」「15分でとれた」という話が実際にあるくらい、一部のクリニックでは患者を増やすために、さっさと診断書を出してしまう現状があります。その話を、ここにきて否定しています。
安易に性別変更を申し出る人はいない?!
もし自称の性別(セルフID)で戸籍の性別を変更できる世の中になったとしても、たとえば女子トイレに入りたいがために、安易に性別を変更を申し出る人はいないというのです。なにを根拠に、そんなことが言えるのでしょうか?
「俺の娘が使う方のトイレに男が入ってく道理はねえんだよ!お前は男だ!男らしくしろ!」
— 🇺🇸 🇯🇵Blah (@yousayblah) 2023年9月8日
娘を危険から守る、これぞ父親。 男の中の男。
pic.twitter.com/uNoGrqSpn8
例えばこのようにアメリカでは、「自称女性」が女性トイレを使わせろと主張、主張が通らなければ暴力を振るうといった事件が無数に起きています。日本でもこれが起きない保証はありません。
13・14ページ 日本は海外に倣うべき?セルフIDを認めろ?
ここで海外の例が持ち出されており、「海外では約40か国でセルフID(自称の性別)による性別変更が行われているのだから、日本もそれに倣ってはどうか」といった旨の記載がされています。
しかし、これは周回遅れの知識です。アメリカではすでにセルフIDによる多数の混乱が起きており、かなり問題視されています。
そこで社会はLGBTに寛容な社会を目指す方向から一転、反LGBTの傾向になってきているのです。多くの州では反LGBT法が採択され、保守派のトランプ元大統領の人気も再沸騰しています。
15・16ページ LGBT理解増進法は、セルフIDを後押ししている?!
そして裁判官の勘違いは、LGBT理解増進法にも及びます。「この法ができたということは、日本においてもLGBTへの理解が進んでいることを表し、すなわち自称の性別が認めるのを後押ししているのではないか」との旨が述べられているのです。
わたしの解説動画の中でも述べておりますが、LGBT理解増進法というのは、そのような法律ではありません。LGBTという言葉が使われているものの、LGBTに特化した法律ではなく「性別に関係なく、すべての人が等しく幸福に過ごせるようにしましょう」という理念法です。
基本理念としては憲法14条とほぼ同じ内容になります。憲法にすでに記載のあることを、なぜわざわざ形にしたのかには理由があります。それはこちらのブログをご覧ください。
さいごに
性同一性障害とトランスジェンダーの違い、静岡家裁で出た違憲判決文の解説をしてきました。こういったセクシャルマイノリティの問題は、一般的には正しい理解を得られないのが現状です。
メディアではさかんに印象操作がされていますし、自分で調べようとしても正しい情報にアクセスできないこともあるでしょう。
わたしはLGBTイデオロギーに染まった左派活動家の意見が「主流」になっている現状を、なんとか食い止めようと活動しています。
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